“破壊するもの”の周囲に無数の魔法陣が発生した。そこを門として、空飛ぶ鳥型の“異形”達が次々と現れる。
その“異形”は、烈風神も大炎帝も倒した経験があるが、今回はその数が多すぎる。まさしく空を埋め尽くすような大群が“破壊するもの”への接近を防ぐために集結したのだ。
「何て数……!」
綾は息を飲む。
そこへ“異形”達が殺到してきた。口からは連続して火球が放たれる。
――効かぬ!――
烈風神の霊力による防護壁が、攻撃を弾く。
――その程度!――
大炎帝の装甲が、熱を阻む。
逆に烈風神の嘴や大炎帝のドリル、飛行ユニットのレーザーは連続して数体の“異形”を貫いた。だが、その間にも“異形”は魔法陣から飛び出してくる。もしも無理に“破壊するもの”へ突入しようとすれば、そいつらから集中攻撃を喰らってしまうだろう。そうなれば、烈風神や大炎帝でも防御し切れない。
「このままじゃ時間が……! 広哉様と聖海姫さんが待っているのに……!」
「大丈夫ですっ、綾さん!」
焦燥感に駆られる綾に、京一が怒鳴った。
「こいつらは俺が相手します! 綾さんと先輩は予定通りに“破壊するもの”の中へ入ってください!」
「だけど……!」
「任せてください! 俺だってIDMの正式な隊員なんです! それにもう少しすれば後発のソリッドウィング部隊も到着します! だから!」
――綾! 今は京一を信じよう!――
「京一の腕は俺が保証する!」
「は……はいっ!」
烈風神と巧に言われて、綾は頷いた。
「烈風神さん! 闘神形態へ変形を!」
――承知!――
鷹の姿から人型へと変わった烈風神は、飛天槍を構える。
――閃光突破!――
まっすぐに伸びた槍の穂先は、軌道上の“異形”をまとめて焼き払い、“破壊するもの”に突き刺さった。
――はっ!――
烈風神の気合と共に、光の刃がエネルギーを破裂させる。
ドドドドドドドォォォォォォッ!
刃の周辺にいた“異形”達が、霊力の奔流に巻き込まれて誘爆した。
さらに
「ドリルシュゥーーートォッ!」
大炎帝から二つのドリルが飛ばされる。ドリルが狙ったのは、閃光突破によって脆くなった“破壊するもの”の肉壁だ。
回転する金属の塊によって、“破壊するもの”に穴が穿たれた。
「行ってください!」
飛行ユニット側の操作によって、マルチランチャーが大炎帝の横のフックに掛けられる。そこから大炎帝は、弾丸のように撃ち出された。
それに烈風神も続く。
二体を阻もうとする“異形”は、飛行ユニットのレーザーによって撃墜された。
烈風神と大炎帝が穴の奥へと消える。
直後、“破壊するもの”の自己治癒能力なのだろう。穴はあっさりと閉じてしまった。もう“異形”も京一も、後を追う事はできない。
「先輩……! 綾さん……!」
京一は力を込めて、二人の名を口にした。だが、それ以上のゆとりはない。“異形”どもの狙いは、唯一外に残った飛行ユニットに絞られたのである。
「いくぞおおおおぉぉぉっ!」
咆哮し、京一は“異形”の群れに突っ込んだ。
大切な仲間達の勝利を信じて。