「以上が、今回の襲撃の顛末です」
居並ぶIDMの高官達に、長瀬雅は知りえた情報を報告した。
だが、ほとんどの高官達は納得していないようであった。
「この基地には侵入者の霊的な力を防ぐ結界が張ってあるのだろう? なぜ、やつ等は隊員を操ったり、篠崎家の御曹司をさらえたのだ」
「結界が完全ではないからです」
答える雅もまた、正人と同じように動揺を許されない立場の人間だった。淡々と事務的に話す。
「結界は術を百パーセント妨害できるものではありませんし、すでに発動した術を止める事もできません」
「どういう事だね」
「彼らはすでに隊員に操りの因子を植え付け、また篠崎氏を吸い込む石も完成させていました。一つの合図で発動するところまでいった術を止める事は、結界にはできないのです」
「ならば、できるようにすればいいだろう。もっと結界を強力にするのだ」
「聞くところによると、それ以外にも結界には穴があるそうじゃないか。そこを狙われたらどうする」
高官達は口々に言う。そんな彼らに雅は根気よく続けた。
「いいえ、そうしてしまえば、基地内にある霊的な機器もまともに使えなくなります」
全ての霊的機器が、あの不完全なサイキック能力増幅用の銀の球体と同じような有様になるだろう。銀の球体も、結界に穴を用意する事で辛うじて使えている状態なのだ。
「どうだ。一時間ほど休憩を挟もうではないか」
兵藤極東指令が口添えをしてきた。
その言葉に正直なところ、雅はほっとした。