「あ……」
 謎のロボットが"異形"を倒すのを、綾は烈風神の中で呆然と見ていた。
 自分が死ぬかもしれなくて、しかしいきなり現れた別のロボットは簡単に"異形"を倒して……。
 混乱した綾の頭では、状況のめまぐるしさについていけなかった。
 助かったと安堵するよりも、悪い夢を見ているような気分だ。
 それを我に返らせたのは、突然届いた男性の声であった。
『こちら大炎帝アンド小早川巧。烈風神とそのパートナーは応答してくれ』
 弾かれたように、綾はビクッと震えた。
 意識が外に向けられると同時に、改めて先ほどの恐怖が蘇ってくる。
 自分がとんでもない世界へ引きずり込まれてしまった事を、そしてその中でいかに無力かを、綾は思い知らされた。
『アーアー、繰り返す。こちら大炎帝アンド小早川巧。烈風神とそのパートナーは応答してくれ』
 繰り返される相手の声は、機械による通信ではなく、烈風神のテレパシーと同種のもので送られてきていた。
 が、そんな事はどうでも良い。
 綾は俯き、小さく口を動かした。
「……てください」
――綾?――
 烈風神にさえ聞き取れなかった小さな呟き。
 綾はそれを怒鳴り声で繰り返した。
「お屋敷に戻ってください!」
――…………承知した――
 烈風神は躊躇したようだが、結局綾に応じて、鳥神形態に変形した。
『あ、おいっ、ちょっと』
 相手が慌てて呼びとめるの無視して、烈風神は来た時と同じく、ワープで基地から姿を消したのだった。



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