“破壊するもの”への接近は、烈風神の瞬間移動で一瞬のうちに、というわけにはいかない。敵に空間を操る“影渡り”がいる以上、下手な移動系の術は逆手に取られる危険があるからだ。
――だが、こうして近づくだけでも、ヤツの術を完全に防げるわけではない。妾だけならば、防御のための障壁を張れるが、大炎帝達まで護れる自信はないぞ――
「それについては心配無用だ」
――長瀬君が私の身体の調整を終わらせてくれた。以前のようにはいかないさ――
 その半瞬後、二体の眼前に闇の魔方陣が現れる。
 至近距離のそれを避けられず、烈風神と大炎帝は魔方陣に突っ込んだ。
「!」
 パシィッ!
 乾いた音を立てて、魔法陣が砕けた。
 烈風神と大炎帝は……無事だ。
「やりましたね! 先輩!」
「さすがは雅だな」
 もはや烈風神と大炎帝に小細工は通用しない。



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