「しょうがないわね」
“影渡り”は軽く頭をかいた。
「そろそろ行くわ」
「はい。それでは私は次元の狭間で待機します」
「りょーかい」
“影渡り”は指で空中に魔方陣を描いた。先日の不完全な状態で行った時と違い、術は速やかに発動して、門となる。
「さ、行っておいで」
「はい」
自ら魔方陣へ踏み出した“操り師”の姿は、すぐに消え去った。
それを見送って“影渡り”はひとりごちる。
「あたしも行くか」



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