ドサリ、と綾は舗装された滑空路に投げ出された。
鬼王に引きずられるようにして、彼女は基地の外へ連れ出されたのである。
固い場所へ身体を打ちつけられて、綾は痛みのようなものを感じた。だが心は動かない。全てが遠い世界の出来事のようだ。
「さあ、烈風神を呼べ」
「烈風……神さんを……?」
鬼王に命じられても、綾はオウム返しに呟くだけだった。
「早く呼べ」
イライラと鬼王が言う。
「烈風神で俺に勝てば、こいつを返してやる」
綾に見せ付けるように、鬼王が赤い石を自分の掌に乗せる。
「お前がどう思っているかは知らんが、小僧はまだ生きている。この中に封じ込められただけだ」
「え……?」
広哉が生きている、その言葉だけははっきりと綾の耳に届いた。
「広哉……様が……」
ぼんやりとしていた綾の瞳の焦点が定まってきた。
「広哉様が生きてる……」
「分かったら、さっさと烈風神を呼べ」
「……」
綾は鬼王を見上げながら、ゆっくりと立ちあがった。
「烈風神さん……」
ささやくような声。次いで綾は思いきり声を張り上げる。
「来て下さい! 烈風神さん!!」
綾と烈風神の心はつながっている。声そのものは届かなくても、IDMの結界の外に出た事で、綾の想いは烈風神に伝わるのだ。
超音速で飛べる鳥神形態の烈風神にとって、屋敷と基地の距離など、ないも同然だった。
一分としないうちに、烈風神は空の彼方から緑色の姿を現した。
「あなたがどうしてこんなひどい事をするのか……どうして烈風神さんと戦いたがっているのか、私には分かりません。でも……広哉様を助けるためなら、私は……」
綾は烈風神に吸い込まれる。
「あなたを倒します!」