「始まりましたね」
基地を出た“操り師”と“影渡り”は離れた場所から、対峙する二つの巨体を眺めていた。
「いいの? あの鬼王とかいうやつ、あたしらと合流もしないで勝手な事してるわよ」
「いいんです。むしろ、好都合ですね。先走ってもらいたくて、わざわざ合流しましょうなんて言っておいたんですから」
「へ?」
「そう伝えておけば、約束の時間より早く行動に移ってくれるでしょう? 彼の目的はあくまで『自分が』烈風神とあの少年を嬲り殺す事なんですから」
「最初から共倒れを狙ってたわけね。結局、あなたの掌の上って事か」
何でも見通しているといわんばかりの態度に、仲間である“影渡り”も僅かに顔をしかめた。
だが、当の本人は涼しい顔だ。
「だから私は“操り師”なんて呼ばれているんですよ」



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