「行きましょう!」
――承知!――
 学校上空へ出ると同時に、鳥神形態を取っていた烈風神は口から光熱弾を放った。
 直撃を食らった"異形"の一体が、青い炎に変わる。校庭へ向かって落下しながらも、それは地面へ激突する前に燃え尽きて消滅した。
 烈風神は、さらに相手達が反応できないうちに、敵の集団へ飛び込む。
 縦横無尽に飛び回りながら、ニ体、三体とすれ違いざまに自らの鋭い翼で切り捨てた。
 身体を分断された"異形"もまた、青い炎に包まれて塵となる。
 そこでようやく"異形"の集団も、烈風神に狙いを定めた。
 カッ、カッ
"異形"の口から火球が放たれる。だが、四方八方から来るそれらを烈風神は全て不可視の防護壁で弾いた。
 そしてスピードを緩める事なく、さらに数体の"異形"を屠った。
 下にいる子供達から喚声があがる。
――あと三体!――
「はいっ」
 烈風神は最初に放った光熱弾を再び撃ち出し、間合いの離れた一体を焼き尽くした。
 そして、無謀にも嘴を突き出して仕掛けてきた"異形"をかわすと、翼を叩き込んだ。
「残りは」
――一体!――
 そう言いながらの光熱弾が、最後の"異形"を倒した。
「やり、ましたね」
 軽く息を弾ませながら、綾は何気なく学校に目を落とす。
 生徒も教師も皆、自分達を見上げていた。中には広哉も混じっている。
 やはり……裸で宙にいるような気がしてしまう。
「そ、それじゃあ帰りましょうか」
 羞恥をごまかすように、綾はわざと明るい声を出した。
 しかし、烈風神は答えなかった。
――この……気は……――
「烈風神さん?」
――まさか、あいつが? いや、違う! "影渡り"の気配もあるだと?――
 そこで綾も気付いた。何か、恐ろしいほどの威圧感が前方から生まれてきている。
 今までの"異形"とはまるで違う何か。これと比べれば、一度自分達が破れた岩の"異形"もおとなしいものだった。
――来る!――
 その直後、空間を割り、奥から胸に雄牛の頭を持つ巨大ロボットが踏み出してきた。
 大地に脚を降ろしたその姿は、数日前に烈風神に見せてもらった轟地将と全く同じものであった……。



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