"異形"の攻撃で倒れる街路樹。
 その下敷きとなる少女。
 彼女を助けようとする、もう一人の少女と少年。
 現れた烈風神。
 光になる少女……。
 そして……。
 それから……。
 ………………
「やぁれやれ」
 小早川巧は息を吐いて、かぶっていたヘルメット状の機械を外した。
 身体はまったく動かしていないが、疲労感は物凄い。ヘルメットを傍らに置いて、髪をかきあげると、髪も汗でびっしょりだった。
 椅子に座ったまま、コリをほぐすように首を回す。
 今、巧がいるのは銀色に光る金属製の球体の内部だった。広さはそこそこで、成人男性が立ちあがり、両手を広げても、まだ余裕がある。
 この球体もIDMの装備の一つなのだ。作動させれば、サイキッカーは普段使えない潜在能力までも十二分に引き出す事ができる。もっとも、未完成なシステムのため、使用にはかなりの苦痛が伴う事は、今の巧を見ても分かるだろう。
「よっ……と」
 巧は肘掛の上に置いた手に力を込め、自分自身を持ち上げるようにして立ちあがった。
 そして右側に付けられたドアを押し開けて外へ出る。
 外、といってもそこはまだIDM極東支部の地下施設内だ。
 白い壁に囲まれたその無機的な部屋で、相良京一と長瀬雅が巧を待っていた。
「先輩! 大丈夫ですか!?」
「…………」
 京一が慌てて巧に駆け寄り、雅は何か言いかけたものの、京一に先を越される形となって口を閉ざす。そんな二人に対して、巧は口の端を上げてみせた。
「ちゃんと"視え"たぜ。昨日、烈風神と"異形"の足元で何があったか。それにどういう人間が烈風神へ乗り込んだのかもな」
 だが、さらに続けようとした巧を、京一が脇から制した。
「話は後にしましょうっ。まず少し休んだ方がいいです!」
「……そう、だな」
 巧は頷いた。
「とりあえず休憩所に行こうか」



NEXT