"異形"らしき飛行物体を目撃したと通報を受けたIDM極東支部では、直ちに大炎帝の出撃準備が整えられた。
 リフトで上へと運ばれる戦車形態の大炎帝。
 そのコクピット内で、小早川巧は「う〜む」と難しい顔をして唸っていた。
「どうしたんですか、先輩」
 相良京一がモニター越しに聞いてきた。
「いや、どうにも"異形"の目的が分からなくてな。前回が湾岸基地、前々回が街のど真ん中、今回も街中。出てくる場所がバラバラだ」
 その疑問に大炎帝が同意する。
――確かに妙な話だね。"異形"は私達と意志の疎通を図ろうとはしないが、行動そのものは論理的だったはずだ――
「すると何か理由があるはずだよな」
「そっ、そういえばそうですねっ。う〜ん」
 京一までが考え始めてしまった。
 真面目な性格の彼は何かに頭が行くと、他の事を考えられなくなるきらいがある。
 もうすぐ発進だというのに、このままだと本気で悩み続けそうだ。
 巧は苦笑した。
「出る前に妙な事を言っちまったな。まあ、そこら辺について悩むのは、"異形"を倒してからにしようや」
「はいっ先輩っ!」
 京一は操縦桿を握りなおした。
 そこで大炎帝は地上まで出る。
「大炎帝、発進します!」



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